弁護士が介入した交通事故で過失割合や慰謝料が相場より高額賠償となった事例
Contents
- 1 弁護士が介入した交通事故で過失割合や慰謝料が相場より高額賠償となった事例
- 1.1 交通事故の慰謝料相場 賠償額 約9500万円
- 1.2 交通事故の後遺障害 1級相当の後遺障害
- 1.3 交通事故の過失割合
- 1.4 交通事故の状況
- 1.5 交通事故の過失
- 1.6 ポイント
- 1.7 交通事故の慰謝料相場 賠償額 約6700万円
- 1.8 交通事故の後遺障害 左硬膜下血腫及び脳挫傷で死亡
- 1.9 交通事故の過失割合
- 1.10 交通事故の状況
- 1.11 交通事故の過失
- 1.12 ポイント
- 1.13 交通事故の慰謝料相場 賠償額 約6200万円
- 1.14 交通事故の後遺障害 第3級3号の後遺障害
- 1.15 交通事故の過失割合
- 1.16 交通事故の状況
- 1.17 交通事故の過失①
- 1.18 交通事故の過失②
- 1.19 ポイント
- 1.20 交通事故の慰謝料相場 賠償額 約5400万円
- 1.21 交通事故の後遺障害 被害者55歳主婦、頭蓋内損傷により死亡
- 1.22 交通事故の過失割合
- 1.23 交通事故の状況
- 1.24 交通事故の過失
- 1.25 ポイント
- 1.26 交通事故の慰謝料相場 賠償額 約4700万円
- 1.27 交通事故の後遺障害 被害者女性75歳、脳挫傷等で死亡
- 1.28 交通事故の過失割合
- 1.29 交通事故の状況
- 1.30 交通事故の過失
- 1.31 ポイント
- 1.32 交通事故の慰謝料相場 賠償額 約3200万円
- 1.33 交通事故の後遺障害 被害者84歳女性、脳挫傷等により死亡
- 1.34 交通事故の過失割合
- 1.35 交通事故の状況
- 1.36 交通事故の過失
- 1.37 ポイント
- 1.38 交通事故の慰謝料相場 賠償額 約2200万円
- 1.39 交通事故の後遺障害 被害者女性77歳、脳挫傷等により死亡
- 1.40 交通事故の過失割合
- 1.41 交通事故の状況①
- 1.42 交通事故の状況②
- 1.43 交通事故の過失
- 1.44 ポイント
弁護士が介入した交通事故で過失割合や慰謝料が相場より高額賠償となった事例
※一般の方でも読み易くするため、修正を入れています。
※原文を詳細にお読みになる場合、判例検索で閲覧下さい。
慰謝料相場が高額賠償裁判例
神戸地判平成25年7月4日の判例(交民46巻4号883頁、判時2197号84頁)
交通事故の慰謝料相場 賠償額 約9500万円
交通事故の後遺障害 1級相当の後遺障害
被害者62歳女性、急性硬膜下血腫、広範囲脳挫傷、意識障害(植物状態)などで自賠責の後遺障害等級の1級相当の後遺障害等級認定
交通事故の過失割合
過失相殺 歩行者(A)0%・自転車(B)100%
交通事故の状況
事故発生当日Bは、スイミングスクールから自宅に帰宅するために、Bの乗る自転車(26インチのマウンテンバイク)のライトを点灯して運転し、道路を北から南に向かって走行し始めました。
Bは、当初道路の左側(東側)を走行していましたが、道路沿いに背の高いススキ等が道路内側に向かって生えており、左側(東側)を走行しようとすると道路の中央付近を走行することになって危険であると考えたために、道路の右側(西側)を走行することにしました。
そして、ヘルメットをスイミングスクールに忘れてきたことに気付きました、ヘルメットは今度取りに行けばいいと思い直した。
Bは、前方10.3メートルの地点を、歩いているAを発見しましたが、そのまま直進線上となる⊗の地点で、Bの自転車前部とAが正面衝突しました。
事故発生衝突衝突後、AはBの自転車が進行する方向に約2.1メートル飛ばされて転倒し、Bは転倒しました。
警察の鑑定書によると、衝突時におけるB運転の自転車の速度は、時速20~30キロ程度と考えらられています。
なお、事故当時、Bは友人(事故発生当時12歳)と一緒にそれぞれの自転車で帰宅していたところ、道路の東端から約1.4メートル程度の場所を、Bの後方から走行していた友人は、Aら女性2人が歩いて来るのを前方(南側)約37~37.7メートルの地点で発見しておりその後、Bが運転する自転車がAらに迫っているのを見て「危ない」と叫んだが、事故が発生していまいました。
事故発生当日Aは、近所に住む高齢の女性で、足が悪く杖を使用する知人の散歩に付き添っており、道路の西端から約1.1メートル程度の場所を、知人のすぐ右後ろからゆっくりと歩行していました。
Aは、⊗地点で、前方から走行してきたBの運転する自転車前部と正面衝突しました。
交通事故の過失
上記認定事実によれば、事故は、Bが道路上を自転車で走行するに際に、自車の前方を注視して交通安全を図るべき自転車運転者としての基本的注意義務があるにもかかわらず、自転車運転者としての基本的注意義務を尽くさないまま、しかも、相当程度の勾配のある道路を速い速度で走行しており、その結果衝突直前に至るまでAに気が付かなかったことによって発生したものと認めるのが相当であると結論になりました。
尚、道路の状況に照らせば、Bが道路の左側(東側)を通行をせず、Aらが右側を通行をしなかった点はいずれもやむを得なかったものと考えられています。
他方、Aにおいても進路前方の安全に留意して歩行すべきであり、前方の確認がやや不十分であったものの、AとB運転の自転車の大きな速度差、Bの加害行為及び注意義務違反の内容や程度等に鑑みると、Aに過失相殺の対象としなければならない程の過失があったとは認め難いというべきであると結論付けされました。
ポイント
未成年者の自転車による交通事故で、最も記憶に鮮明に残っており自転車保険の義務化を義務付ける要因となりました。
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東京地判平成15年9月30日の判例(判例秘書)
交通事故の慰謝料相場 賠償額 約6700万円
交通事故の後遺障害 左硬膜下血腫及び脳挫傷で死亡
被害者38歳女性(検査技師兼業主婦)左硬膜下血腫及び脳挫傷で死亡
交通事故の過失割合
過失相殺 歩行者(A)0%・自転車(B)100%
交通事故の状況
Bは片手にペットボトルを持ったまま下り坂をスピードを落とさずに自転車で走行して、信号機による交通整理が行われていない交差点(信号機の無い交差点)に差し掛かったところ、ちょうどその時横断歩道上を横断していたAに、自転車を衝突させ、Aを転倒させました。
交通事故の過失
Bは衝突を回避しようと方向を変え通り抜けようとしたスペースに引き返したという事情があること等から過失がある旨主張しました。
しかし、Bは片手にペットボトルを持ったうえで自転車を運転していたのであり、このような片手運転は不安定であって、ハンドル操作も効きにくく、特に下り坂を走行するに際しては前後どちらのブレーキが使用できなく、一輪のみのブレーキ制動ではその制動効果が少なく、そのような状況下では走行時に起こりうる種々の事態に対応できない危険な走行方法であったことは明らかです。
また、Aは横断歩道上を歩行していたのですから、歩行者として絶対的に近く保護されるべきものです。
仮に、Aが事故発生時に両手に大きな買い物袋を下げていたとして、とっさに退避し難いという事情があったとしても、Bの過失内容と対比すると、過失相殺率を修正する要素は見出し難く、Aにはなんら落ち度はないというべきです。
ポイント
最近、女子大学生が左手にスマートフォン、右手に飲み物を握り、左耳にはイヤホンをしていて、交通事故の瞬間はスマホをポケットにしまうために前を見ていなかった事で、死亡自転車事故が発生しました。
ながらスマホで死亡事故として、大きなニュースにもなりました。
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東京地判平成24年6月20日の判例(交民45巻3号732頁)
交通事故の慰謝料相場 賠償額 約6200万円
交通事故の後遺障害 第3級3号の後遺障害
被害者52歳主婦(パートタイマー)、外傷性くも膜下出血等で脳外傷後遺症、高次脳機能障害等で自賠責の第3級3号の後遺障害等級認定
交通事故の過失割合
週失相殺 自転車(A)10%・東側自転車(C)20%・西側自転車(D)20%・自転車(B)35%・自動二輪車(E)15%
交通事故の状況
Aは、Aが運転する自転車のかごに約13キログラムのペットの犬を載せた状態で自転車を運転し、歩道を北方向へ走行していました。
他方、Dが運転する自転車とCが運転する自転車は会話をしながら、それぞれ歩道の西側及び東側を、並んで南方向へ走行していました。
Bは、自転車で前方を走行しているDの自転車に続いて、Dの自転車との距離を約l.7メートルないし約2メートルに保ち、歩道の中央ないし西側(西側自転車及び東側自転車の中間の後方ないし西側自転車の後方)を、南方向へ時速約15キロメートルで走行していました。
Bからは、先行する自転車の運転手のDの身体に遮られて、Dの運転する自転車の前方を見通すことが困難でした。
交通事故当時、事故現場の周囲は暗かったのですが、Bは、Aの運転する自転車がスポーツタイプの自転車であり前照灯や照明を装着していないまま走行していました。
また、Bは黒っぽい服を着ていました。
そして、Aの運転する自転車と先行自転車(Dの自転車)とが近付き、すれ違うに当たり、Aは歩道の車道寄り(西側)を走行し、西側Dの自転車はAを避けて東側に進路変更しました。
その時に、Bは対向自転車(A)が近付いてくるとは考えておらず、西側自転車の動きを見ており、Aの自転車の存在に気付かずそのまま歩道の中央ないし西側を走行していたため、接触する直前に初めてAの存在に気付きましたが、Aの運転する自転車を避けることができず、Bの運転する自転車の右側ハンドルをAの運転する自転車の右側ハンドルに接触させました。
交通事故の過失①
交通事故の過失として問題になったのは共同不法行為です。
先行自転車(D)が併走していたためにBが先行自転車の前方を見通すことが困難になり、接触直前に初めてAの存在に気付いたという事故の状況に照らすと、Aの運転する自転車とBの運転する自転車との接触は、先行自転車(D)の運転者らの過失及びBの過失が合わさって生じたものということがいえます。
先行自転車(D)の運転者ら及びBが共同の不法行為によりAに損害を加えたものとして、この場合は共同不法行為が成立します。
更に、歩道上でAの運転する自転車とBの運転する自転車との接触したために、すぐ脇の車道上に転倒したAに、その転倒直後にEの運転する自転車が衝突したという事故の状況に照らすと、Aの運転する自転車とBの運転する自転車との接触と、AとEの運転する自転車との衝突とは、時間的場所的に非常に近接しており、Bの接触によりDの衝突が生じたと評価し得るので、先行自転車(D)の運転者ら及びB並びにEにつき、共同不法行為が成立します。
交通事故の過失②
交通事故の過失相殺の可否
Aは、対向してくる先行自転車(D)が並進しており、 その後方にも自転車が存するかも知れないことを予見して、前方を注視すべきで、それとの接触を避けられるような速度と方法で自転車を運転すべきであったにもかかわらず、それを怠りAの運転する自転車をBの運転する自転車に接触させたのであり、事故の発生についてはAにも被害者としての過失があるというべきであって、損害賠償額を定めるに当たっては、当然に考慮されます。
そして、上記の事情を考慮すると、先行自転車(D)の運転者ら及びBらの過失の割合を加算したものとAの過失割合を対比して過失相殺をするのが相当です。
この点、先行自転車(D)の運転手らがそもそもの原因を作り出したこと、Bは西側のDの自転車が東側に寄ったにもかかわらずその動きを見ていてAの運転する自転車の発見が遅れたこと、事故現場の周囲は暗かったが、Bは照明をつけずに走行していたうえに、黒っぽい服を着ており、Aからの発見は困難であったと考えられることなどの事情を考慮すると、交通事故の発生について、東側自転車(C)の運転手、西側自転車(D)の運転手、B及びE並びにAがそれぞれ20 パーセント、20 パーセント、 35 パーセント、15パーセント、10パーセントの寄与をしていたと考えるのが相当です。
よって、事故におけるAの過失相殺率10パーセントの過失相殺をした損害賠償額について、B・C・D・Eは連帯して賠償する責任を負うこととなります。
ポイント
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東京地判平成19年4月11日の判例(判例秘書)
交通事故の慰謝料相場 賠償額 約5400万円
交通事故の後遺障害 被害者55歳主婦、頭蓋内損傷により死亡
交通事故の過失割合
週失相殺 歩行者(A)0%・自転車(B)100%
交通事故の状況
Bが運転する自転車が信号機により交通整理の行われている交差点にさしかかった際に、信号機の停止及び進入禁止を示す赤色灯表示を無視して停止せず前方注視を欠いたまま時速30~40キロメートルで進行した過失により、交差する横断歩道上を歩行者用信号の青信号に従い横断歩行中の亡A(当時55歳)にBの運転する自転車を衝突させ路上に転倒させて頭蓋内損傷の傷害を負わせ、死亡させた。
交通事故の過失
事故の原因は、Bが信号表示を無視して停止せず、前方注視を欠いたまま自転車としては相当の高速度(30ないし40キロメートルは高速)で交差点に進入したという、Bの一方的かつ重大な過失による交通事故です。
ポイント
自転車による速度の出し過ぎが近年急増しており、高額賠償となる交通事故が増えています。
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東京地判平成26年1月28日の判例(交民47巻1号95頁、判時2261号168頁)
交通事故の慰謝料相場 賠償額 約4700万円
交通事故の後遺障害 被害者女性75歳、脳挫傷等で死亡
交通事故の過失割合
過失相殺 歩行者(A)0%・自転車(B)100%
交通事故の状況
自転車と歩行者の交差点事故で、信号機により交通整理の行われている交差点でした。
Aは、対面する歩行者用信号機の青色灯火の信号に従って、横断歩道を渡り始めました。
Bは、Bが運転する自転車で事故が発生した交差点に向けて直進進行していました。
交差点に差し掛かったBは、車道左側端から約0.9mのところを、時速約15ないし20kmの速度で進行していました。
Bは、横断歩道前の停止線より約9.5m手前で左右の脇見をしながら進行していたため、交差点の対面信号が赤色灯火であることを看過し、横断歩道より横断しようとしている歩行者の有無を確認せず、漫然とそのままの速度で横断歩道手前の停止線付近に至った経緯があります。
交通事故の過失
Bは、横断歩道手前の停止線付近で、対面信号が赤色灯火であることに気付くとともに、Aを左前方約5.2mの地点に発見して、その時Aは車道左側端から約0.3mの地点まで来ていました。
Aを発見して危険を感じブレーキをかけ、Bの運転する自転車のハンドルをAを避ける為に右に切ったが間に合わず、Bの運転する自転車の前部分をAに衝突させて、Aを路上に転倒させ死亡させた。
ポイント
自転車の脇見運転は、ながらスマホと同じで重大な事故を起こす危険性が極めて高いと言えます。
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京都地判平成24年11月26日の判例(交民45巻6号1341頁)
交通事故の慰謝料相場 賠償額 約3200万円
交通事故の後遺障害 被害者84歳女性、脳挫傷等により死亡
交通事故の過失割合
過失相殺 歩行者(A)0%・自転車(B)100%
交通事故の状況
自転車事故が発生した交差点付近は市街地であり、突き当たりのT字路交差点で発生した事故です。
事故が発生した道路の状況は南東から北西に100分の8度の下り勾配となっており、直進路及び突き当たりのT字路ともアスファルト舗装されています。
交差点の南角には石垣及び植込み等があり、突き当たりのT字路付近の見通しは悪い状況でした。
又、交通量は人も車も少ない。
T字路事故発生当時の天候は晴れで、アスファルト舗装路面は乾燥していました。
Bの運転する自転車は、ロードレーサータイプの自転車を運転しており、突き当たりのT字路を東から交差点に向かって下り、交差点手前で速度を時速7ないし8キロメートルまで減速し、交差点で左折するためハンドルを左に切りながら、右方からの車両の有無を確認しようとして右方を向き、進行方向へ視線を戻したところ、東向きに立っていたAを発見し危険を感じて強くブレーキを握るとともにAとの衝突を回避する為、右に進路を変えようとしましたが間に合わず、Bの左肩がAの左肩に衝突して、その衝撃でAは、その場で尻餅をついた後、上半身が後方に倒れ路面に後頭部を打ち付け死亡しました。
交通事故の過失
Bは、事故当時のAが路側帯から車道にはみ出していたことが過失である旨主張しましたが、Bの指示説明によってもAは、車道と路側帯との間の白線を跨いでいたに過ぎず、交差点進入時の交差道路の安全確認という自転車運転者にとって極めて基本的な注意義務を怠った被告の過失と対比し、過失相殺しなければ公平を失するとは到底いえません。
以上の理由により、Bの過失相殺に関する主張はいずれも採用されませんでした。
ポイント
自転車の脇見運転に加えて、速度の出し過ぎが近年急増しており、高額賠償となる交通事故が増えています。
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東京地判平成25年3月27日の判例(判例秘書)
交通事故の慰謝料相場 賠償額 約2200万円
交通事故の後遺障害 被害者女性77歳、脳挫傷等により死亡
交通事故の過失割合
週失相殺 歩行者(A)0%・自転車(B)100%
交通事故の状況①
事故現場は、河川敷に設けられているサイクリングロードで発生した自転車の交通事故です。
自転車の走行及び歩行者の歩行が予定され、自動車や原動機付自転車の走行は予定されていません。
又、見通しを妨げるものはないです。
サイクリングロードは、全幅員7.2メートルで、道路の端は短裁されている草地でありました。
サイクリングロード中央には、緑色のペイントでセンターラインが実線で鮮明に標示されており(センターラインはサイクリングロードを幅員3.6メートルずつ区分していす。
自転車の最高速度は時速20キロメートルと定められていおり、サイクリングロードは直線でアスフアルト舗装され、平坦で乾燥していました。
サイクリングロードには照明灯がありましたが事故発生当時の時刻が午前3時10分頃であり、日の出前でありました。
また、事故当日の天気は晴れです。
交通事故の状況②
自転車事故に至る経緯は、Aは事故当日の午前3時頃いつものように自宅を出発して散歩を開始し、サイクリングロードを歩行していたところ、サイクリングロードの中央付近を歩行していた際、Bの運転する自転車とB本人の身体と衝突しました。
Bは、会社に出勤するため事故当日の午前2時30分頃自宅を出発して、Bの運転する自転車はロードレーザータイプ・車長約1.64メートル・ハンドル幅約0.44メートル・ハンドル高さ約0.96メートル・前輪先端からサドル中央まで約1.1メートルの大きさで、前照灯は付いておらず、ハンドルにLEDの点滅ライトが付いており、暗くなると自動的に点灯するタイプを装着して運転し、サイクリングロードを時速約15ないし20 キロメートル(ロードレーサータイプの自転車の制動距離は停止距離は約4.6ないし6.7メートル)で走行していました。
Bは、事故現場に差し掛かり、サイクリングロードの中央付近を走行し、深呼吸をするために下を向きそのまま約23メートル走行したところで、Bが運転する自転車がAに正面衝突して初めて目の前にAが立っているのに気が付き、急ブレーキをかけたがそのままBの運転する自転車とB本人の身体をAに衝突させるとともに、急ブレーキの影響で後輸が浮き上がったBの運転する自転車と、勢い余ったB本人の身体が、Aに覆い被さるように転倒し、Aを仰向けに転倒させました。
なお、事故当時Bは、少なくとも10メートルの距離に近付けば、Aを認識することができました。
またBは、事故前日に飲酒したところ事故当時の呼気1リットルにつき0.15ミリグラムのアルコールを身体に保有していました。
交通事故の過失
Bは、自転車を運転するに当たり、前方を注視すべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠り下を向いたままで自転車を約23メートルにわたり走行させた過失が認められるのであり、Bは、民法709条に基づく損害賠償責任を負います。
民法709条に基づく損害賠償責任に対し、Bは、結果回避可能性はなく過失はないなどと主張しました。
しかし、Bは、事故当時時速約15ないし20キロメートルで走行させており、その停止距離は約4.6メートルないし6.7メートルであったところ、少なくともAと衝突する10メートル前にはAを認識することができる状況であったのであるから、Bが前方を注視していればAを認識しブレーキをかけることによりAとの接触を回避することができていたのであり、結果回避可能性はあったといえます。
したがって、Bの主張を採用することはできませんでした。
そして、Aには、サイクリングロードの側端ではなく中央付近を歩行していたとか、事故当時周囲を認識するのに十分な明るさがあったわけではないことがうかがわれるところ、Aは、一定程度慣れていたとはいえ、視野及び視力の障害があり特に夜間の外出には危険を伴う支障があったにもかかわらず、懐中電灯を使用するなどの対策をとっていたことを認めるに足りる証拠はないといった事情も存するのではありますが、事故当時のAの年齢(前提となる事実等)、Bは酒気を帯びた状態でロードレーサータイプの自転車を運転していたこと、Bが下を向いたまま前方を全く見ずに約23メートルにわたりロードレーサータイプの自転車を走行させたという過失の内容、事故現場の状況等を総合的に考慮すれば、Aに過失相殺を相当とする程度の過失があったとはいえません。
したがって、事故による損害賠償額を算定する上で過失相殺は考慮してもらえません。
ポイント
ロードレーサータイプの自転車による速度の出し過ぎが近年急増しており、高額賠償となる交通事故が増えています。
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