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車と歩行者の交通事故で弁護士が介入した過失割合の事例№1

 2018/12/10 交通事故 示談交渉 交通事故 過失割合 自動車と歩行者の交通事故
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車と歩行者の交通事故で弁護士が介入した過失割合の事例№1

※一般の方でも読み易くするため、修正を入れています。
※原文を詳細にお読みになる場合、判例検索で閲覧下さい。
東京地判平成18年11月27日の判例(判例秘書)

交通事故に弁護士が介入した過失割合:歩行者(A)0%・車(B)100%

交通事故の状況

交通事故の場所は、 ほぽ北から南に通じる片側3車線と、ほぼ北西から南東に通じる道路が交差する十字路交差点で、信号機により交通整理が行われています。

交通事故の発生した道路は、最高速度毎時60キロメートルで駐車禁止の交通規制がされている道路です。

また、道路にはガードレールによって歩道と車道が区別されており、十字路交差点の出入口には、幅員約5.1メートルの横断歩道及び幅員約1.9メートルの自転車横断帯が設けられいます。

歩行者用信号機も設置されていたところ、十字路交差点よりも南東側では、車道幅員が約12.9メートルであり、十字路交差点付近では3車線(直進車線及び左折・直進車線の2車線)となっています。

十字路交差点は、夜間は街路灯により明るいのですが横断歩道橋が設置されており、その橋脚等のために、西方面から東及び北へ進行する場合には左方の見通しが悪く、ある程度事故発生十字路交差点に進入しないと、左折先の状況を視認することが困難である状況です。

Aは、午後10時頃に楽器の入ったケース等を左肩にかけるなどしたまま、十字路交差点の横断歩道を北から南に向けて徒歩で横断中、十字路交差点を左折進行してきたBの運転する自動車と衝突し、楽器の入ったケースとともに路上に転倒しました。

交通事故の過失

一方、Bは運転して十字路交差点を時速約20キロメートルで進行中、対面信号機が青色を表示していることから、事故発生の十字路交差点を左折進行したところ、横断歩道を徒歩で横断中のAと衝突した交通事故です。

B本人の尋問及び陳述書中には、Bの運転する自動車が十字路交差点に進入する際、歩行者用信号機が点滅を始めるのを確認しており、十字路交差点を左折して横断歩道に差し掛かり、歩行者用信号機が点滅から赤に変わろうとした時点で、Aが駆け足で横断歩道上に出てきたとの供述が記載された部分があるものの、「歩行者用信号機が点滅から赤に変わろうとした時点で、Aが駆け足で横断歩道上に出てきた」これを的確に裏付ける証拠が欠ける上に、A本人の尋問及び陳述書中に、私は向かい側の歩行者用信号が青色であることを確認してから、少し早足で横断を始めました。

すると、2~3歩渡ったところで歩行者用信号が点滅し始めだし、点滅し始めたと思うと同時に衝突されたのだと、反対の趣旨の供述部分があり、併せ考えてもにわかに採用することができず、他に、Aが歩行者用信号機が点滅し、又は赤色を表示している時点で横断を開始したことを認めるに足りる証拠はないと結論付けされました。

Aは、歩行者用信号機が点滅し、又は赤色を表示している時点で横断を開始したことを認めることはできず、青信号で横断を開始したというべきであり、信号機が点滅を開始した時点で衝突されたとするA本人の供述を考慮しでも、Aについて過失相殺を相当とすべき事由があるとまではいえません。

ポイント

歩行者用信号機が青であれ点滅であっても、自動車の運転手からの過失相殺は認められない事案です。

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東京地判平成22年6月22日の判例(自保ジャーナル1843号79頁)

交通事故に弁護士が介入した過失割合:歩行者(A)0%・車(B)100%

 

交通事故の状況

交通事故が発生した交差点は、北西と南東を結ぶ通りと、南西と北東を結ぶ通りが交わる十字路の交差点で、信号機が設置されています。

Bの運転する自動車は、十字路交差点に差し掛かり左折して北上に向かおうとしていました。

北西と南東を結ぶ通り交差点の手前には、自転車通行帯(幅1.6メートル)と横断歩道(幅4.4メートル)とがあります。

車線は、北西側が3車線、その反対方向には5車線です。

車道幅員は約23メートルであり、車道の両側に歩道が設置しており、この交差点は市街地にあり、自動車・歩行者・自転車とも通行量は多く、交通は頻繁です。

また、照明があり明るい十字路交差点です。

Bは、車を運転していて青色信号に従って、十字路交差点をゆっくり左折して進行させ、第2車線の延長上で、自転車通行帯が始まる白線の手前で、一旦停止しました。

その時、第3車線の延長上(Bの車の右側)には、トラック(いすゞエルフ)が停止していました。

このトラックの前部は、Bの運転する自動車より前に出ていたので、Bから横断歩道の右方の見通しは不良であったことが理解できます。

その後、このトラックが前進し出したので、Bも車を前進させ始めましたが、目の前の横断歩道上を自転車が右方から来たため、横断歩道が始まる地点でBは車を停止させました。

この時、トラックもBの車の右隣に停止していました。

Bは、この自転車が通り過ぎた後に、右方の確認をしないままBが車を発進させたところ、右から近づいたBに衝突しました。

交通事故の過失

このような場合の交通事故の過失割合を検討します。

Bは、青信号に従って進行しており、左折後に横断歩道前で一旦停止しながら、右方の確認を全く行わずに前進をして、横断歩道を通行中のAに全く気づかずに、Bの運転する自動車を衝突させたものであり、過失は著しく重いといえます。

歩行者用信号が青点滅に変わっていたのであっても、歩行者がなお横断することはしばしば見られますし、Bは歩行者用信号が変わったことを確認したわけでもないですから、歩行者用信号が青点滅になっていたことで過失の程度が大きく軽減されるものではありません。

また事故が発生した十字路交差点は市街地にあり交通が頻繁で、歩行者や自転車の通行量もとても多いことを考えると、過失の程度は重くなります。

さらに、南東の道路幅員は広く、Bから見て右方から近づく歩行者は横断を開始してからBの運転する自動車の前に至るまで一定の時聞を要するのですから、Bの車を発見することは容易だったはずであり、過失の程度は一層重いといえます。

Bは、歩行者用信号が青点滅になって横断を開始したと認められるから、過失がないとはいえまんせが、Aが7歳にである事をことを考えると、Bの過失と比較しても重要視するのは疑問です。

このように判断能力を考えると、交通事故によるB側の損害に関しては、過失相殺をしないこととするのが相当です。

ポイント

子供の判断能力と自動車運転者の過失は、能力差を考慮されます。

歩行者用信号機が青であれ点滅であっても、相手側が子供であれば自動車の運転手からの過失相殺は認められない事案です。

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東京地判平成22年4月28日の判例(判例秘書)

交通事故に弁護士が介入した過失割合:歩行者(A)5%・車(B)95%

交通事故の状況

交通事故現場の状況は、東から西に向かって延びる道路です。

また、事故発生した道路には、一方通行の規制があり西から東に向かう通行は禁止されていまうす。

道路の南側には、幅員約1.5メートルの路側帯が設けられており、路側帯を除いた道路の幅員は約3.6メートルです。

道路の南側は、高架下の壁面であり、道路の北側には商業施設の店舗が並んでおり、事故現場は商店街となっています。

事故発生当時、道路の南側の路側帯には、多数の自転車が駐輪されていて、これらの駐輪自転車が車道部分にまではみ出していました。

Bは、事故発生当時Bが車を運転して東から西方面に向かっており時速数キロメートルの低速度で進行していました。

Bは、自動車を運転しながら片手に缶コーヒーのようなものを持って、前方の道路を歩いているAの存在を確認していました。

その後、Aが来たから南へと道路の南側に寄っていき、この動きを見たBはAの右側方を通過しようとして、直進進行している時に、車道上の接触事故地点でBの運転する自動車の左フロント部分が、歩行者Aに接触しました。

交通事故の過失

事故発生状況や事故態様に照らしますと、Bは道路を進行するに当たって道路は、幅員の比較的狭い道路であるうえに、進路前方を歩行しているAの存在を確認し認めたのであるから、前方及びAの動向を注視すべきであり、Aの動きとAの安全を十分に確認して進行すべきところ、 これを怠って進行した過失があるというべきです。

一方、Aも道路の車道部分を中央付近から南側へと、いわば斜め横断していたものであり、左方から進行してくる車両の有無や動向を確認すべき注意義務があるところ、これを怠った過失があるというべきです。

そして、交通事故の発生した事故現場の道路状況や双方の過失責任に照らすと、事故発生についてAの過失割合は5パーセント、Bの過失割合は95パーセントであると認められ、Aの損害については過失割合に従って過失相殺をするのが相当です。

ポイント

一方通行の道路という状況で、後方から自動車が来ることは、容易に判断できます。

しかし、歩行者という立場は非常に強く、後方安全人確認を怠ったといえども、過失5:95程度です。

過失の割合は一例ですので、過失に割合が不服であれば、交通事故の専門弁護士に、依頼して下さい。

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福岡地判平成元年1月19日の判例(交民22巻1号51頁)

交通事故に弁護士が介入した過失割合:歩行者(A)10%・車(B)90%

交通事故の状況

事故が発生した現場は、東西に走る幅員約12メートルの歩道・車道の区別のある(以下①車道)幹線道路で車道部分の幅員は約8メートルです。

歩道の北側は、ショッピングセンターとその駐車場、及び駐車場の進入口となっており、距離約6.5メートル、幅員約5メートルの歩道・車道の区別のない(以下②道路)道路とがT字型に交わる交差点になり、横断歩道は設けられていないことと、事故発生当時交差点の北西側の路上に普通乗用自動車1台が駐車していたこと、Aは歩道・車道の区別のない②道路を通って北から南に横断しようとしていたもので、まず歩道・車道の区別のない②道路を、北から南に走って①車道に出た上、右に駐車されている普通乗用車の前方約5.7メートルの所をそのまま走り抜けて停止し、東側から進行して来たバスが本件交差点より東方にある停車所に停止したのを確認した後、さらに南へと出ようとしました。

一方、Bの運転する自動車は、①車道を西から東に向かって時速約30キロメートルで進行していて、事故発生現場となる交差点に差し掛かった際に、②道路上にいるAの存在を確認しておりましたが、そのまま進行し、駐車車両を避けながら①車道の中央線寄りに出た際に、駐車車両の前方から出て来たAに衝突しました。

交通事故の過失①

A本人の尋問の結果で、Aは②道路上を走っておらず、①車道上も走っていないと証言しましたが、警察の実況見分調書の記載や目撃者の供述に照らしてもAの証言や供述は、BがAを最初に認めたのは衝突の直前であり、Aは既に①車道の中央付近にいた(すなわち、②道路上にAがいたのは認めていない)とする部分については、Bの尋問の結果に照らしてにわかに採用し難い。

また、AとBは前方の駐車車両をかわして前方に出ようとして中央線方向に進路を変更した際に、対向して来るバスを認めており、バスの通過前に駐車車両の前方に出るべく急激な進路変更をした旨主張しましたが、Aの主張のバスは、①車道を東から進行してきており、事故発生前にショッピングセンター駐車場進入口交差点の東方にある停車所に停止したことは疑いようのない事実であるので、先の主張をもってBの運転する自動車が急激に進路変更した事実を推認することはできません。

交通事故の過失②

他にAは、横断歩道を使用せず幹線道路である①車道を横断しようとしたものである上に、駐車車両の前方で一旦停止したもののAの意識はもっぱら進行して来たバスの動静に注意を払っていたために、バスが停留所に停止したのを認めるており、反対方向である西側(注車車両の後方)から進行して来る自動車の有無を十分に確認せずに交通事故発生交差点中央付近に出たものと推認されます。

推忍を持ってしてもAに大きな過失があることは明らかであり、この過失は損害賠償額の算定にあたって割酌すべきで過失です。

しかしながら、A及びBの各本人尋問の結果によると、交差点付近はショッピングセンターへの進入口となっているが横断歩道がないにもかかわらず、横断する歩行者が多いことははB自身熟知していたことが認められます。

しかも、Bは児童である「事故発生当時6歳の児童であった」Aが②道路上にいることを認識していたことはBの尋問で明らかなとおりですから、Bとしては、駐車車両の前方からAが出て来ることも十分に予測し得たものというべきです。

予測できるにもかかわらず、停止を含む適切な措置をとり得る速度に減速することなく漫然とBが運転する自動車を進行させたBの過失も相当大きいと評価しなければなりません。

以上の諸点は、交通事故の過失割合を弁護士が判断する上で減算要素として考慮しなければならず事故に関するAとBの過失割合は、10対90とみるのが相当です。

ポイント

この事例でも子供の判断能力と自動車運転者の過失は、能力差を考慮しています。

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法律事務所で様々な交通事故の後遺症損害賠償案件に携わってきた経験あり。数々の損害賠償示談交渉、訴訟を前提にした相談・事件処理の裏事情に詳しいため、交通事故に強い弁護士を選ぶ見識力は他のサイトの追随を許さないと自負している。

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